生態学的議論研究のための根拠資料1

 いまギブソンの『生態学的視覚論』を読みなおしているのですが、ギブソンが会話などの社会的相互作用についてもアフォーダンスというものの見方のほうが、伝統的なものの見方よりも適していると考えていたことを示す一節を見つけました。
 備忘録として、引用しておきたいと思います。p.45です。

 他の動物が観察者にアフォードするものは、単に行動だけでなく、社会的な相互作用も含む。ある動物が動くと他の動物も動き、前者の一連の行為は後者の一連の行為と一種の行動的ループの中で相対している。すべての社会的相互作用とはこのようなものである。 ーたとえば、性的、母性的、競争的、協調的といったたぐいのものであり、また、社会的な毛づくろい、遊び、さらに人間の会話であることすらである。
 以上の簡単な記述では、社会心理学において、アフォーダンスの概念がいかに有力かについては全く論じられていない。社会的刺激とか社会的反応、生物学的動因や社会的衝動などの古い概念ではどうしようもないほど不適切である。同じ生物仲間との生存を理解するには、これら生物が表すものを適切に記述し、そして、それらがどのように知覚されるかを分析しなければならない。

生態学的視覚論―ヒトの知覚世界を探る

生態学的視覚論―ヒトの知覚世界を探る

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