ソーシャル・キャピタル論と議論学

ちょっと油断すると,もう1週間ばかり更新していない訳ですよ.

もう,今日は,ソーシャル・キャピタル論と議論学の関連性について考察します.

まずソーシャル・キャピタルって何ってことで,検索してみると,↓のようなサイトが見つかりました.

日本総研HP コラム「研究員のココロ」
なぜ今ソーシャル・キャピタルなのか 東一洋 執筆
http://www.jri.co.jp/consul/column/data/200-azuma.html
http://www.jri.co.jp/consul/column/data/201-azuma.html

どうでしょう?お腹いっぱいになったことだと思います.

要は,「道路や橋といった社会インフラ」ではなく,初期においては「農村や都市における健全なコミュニティの形成・維持に不可欠な『良好な人間関係』を指し,パットナムにおいては「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」を指すということです.

これは普通,会社などの組織が持つ特徴についての用語ですが,ソーシャル・キャピタルが注目されているという現状から,個人に目をやると,人々の協調行動を活発にすることのできる人材が求められているということになります.ファシリテーターと呼ばれる専門家の一群は,まさにこのような人材の典型的な人々ですが,そういった特別な専門家ではない,個々のビジネスマン,市民,研究者にそういった能力が求められつつあるということです.そして,その能力の一部を成す個人の力こそが,議論への態度や能力と考えることができるでしょう.

ファシリテーターとは
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/e_kansei/gakushu/07gaido/07-004-015.html

日本ファシリテーション協会
http://www.faj.or.jp/

もっと具体的な状況を考えてみたいと思います.

会社組織においてソーシャル・キャピタルが大事になってくる背景として,1つ挙げられるのが制度上の組織と仕事の実行組織が柔軟に関連してきている状況があります.つまり,例えばプロジェクトのリーダーはある組織の部長なり,課長なりであっても,直属の部下はいない.そして出向社員やテンプスタッフ,非常勤職員,アルバイト,アウトソーシングの業者などと一緒に仕事をすることになる.このような状況では,プロジェクト・リーダーは,意思決定の際の基準を明確にする必要があるし,それに伴う様々な行動の理由などを明言化する必要があり,場合によってはプロジェクト・メンバーを説得したり,協同意思決定する必要がある.このときの現実的状況として立ち現れてくるのは,メンバーが「他者」であるということである.「つーかー」や「なあなあ」の関係のような,アプリオリ間主観性が成立していない状況から,相互交渉を通じた間主観性の構築がそのたび毎に求められる.とても疲れそうですが,これは良い悪いの問題ではなくて,実際そうなっているし,さらにそうなっていくので,そのような状況の良い部分を如何に伸ばしていくかを考えないといけないだろう.

で,大学について振り返って考えてみても,やはり同じことが起こりつつある.その原因として,SFCの加藤文俊氏は,自身の授業の中でTAやRAの制度の確立が貢献していると分析している.