Eureka !!!!
この間の放送大学の面接授業以来,多くの方に書き込みをいただきました(個別にはお答えできませんが,本当にありがとうございます)。それについて,自分は授業で何をして差し上げることができたのだろうか,また,これから何をもっとして差し上げることができるのだろうかと考えていました。心理学者として,講師として。
そして,茂木健一郎氏のブログがたまたま目に映って,またまた過酷なまでなハードスケジュールぶりを確認しました。「茂木さん,一体何をしようとしているのか」 別に本人に実際にお聞きしたい訳ではない。茂木さんのブログを見る度に,何が彼をそこまで走らせるのか,つい僕は自問自答しまっている。つまり,心の中で茂木さんらしき影(そこには自分も入り込んでいるが)と対話しているという訳です。
この2つの想念がさっき一瞬交差しました。唐突で訳が分からないと思いますが,それを覚悟で書きますと,学者の役割が僕のなかで1つ明確になったのです。特に心理学の責任は重いかもしれません。
それは何か。学者の社会的責任とは「人の思考や想念の深さを受け止め,共感するかどうかは別として,さらに深い思考や想念を披露することで人に何かを訴える」そういうことかもしれないと思い始めました。これは僕にとって非常に大きな発見だと思っています。ソクラテスとかそういった知の巨人達の偉大さとは,人の思考や想念の深さを死後も数千年にわたって受け止めてこれたことにあるような気もしてきました。
これは情念を受け止めるのとはまた少し違うのです。情念を受け止めることの重要さは現在においては特に知られています。それは例えばカウンセラーや教師が子どもの声を聴くことが重要とされていることから分かると思います。
ただ,思考や想念の深さはおそらく,大学にいるかどうかは全く別にして,学者しか受け止められないものだと思います。市井の人々の深い思考や想念は受け止める場所を待っているのかも知れません。そのような受け止める場所が大学やカフェであってほしいと心から思います。そして,僕自身は人の深い思考や想念を受け止めることのできる学者になりたいと思います。それが研究者としての1つのゴールかもしれないなと,そんな気もしてきました。
放送大学面接授業の授業記録
「創造的な学びと思考の心理学」受講生のみなさま
書き込みありがとうございます。二日間ご静聴ありがとうございました。
以下に,授業中ご紹介したものを再掲致します。
- 作者: アリスター・E.マクグラス,Alister E. McGrath,稲垣久和,小林高徳,倉沢正則
- 出版社/メーカー: 教文館
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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授業中に,実は日本の小学校教育の評価が国際的に高いことを申し上げましたが,1つ参考になる情報がありました。以下のものです。
http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21/2007/07/s01toku_16.html
これはすごい!デモックス(democs)とやら。
大阪大学CSCD科学技術コミュニケーション・デザイン・プロジェクトの非公式ブログで,デモックス(democs)というのを見つけました。
http://cscd-stc.weblogs.jp/blog/2007/10/post_5f93.html
ゲーミング・シミュレーションによって,市民生活にとって大事な問題についての理解を楽しく(?)みんなで深められるというものです。
http://www.neweconomics.org/gen/democs.aspx
登録すれば,ゲームのためのキットをダウンロードして,誰でもやってみることができるようです。さっそくやってみようっと。議論教育にも使えるかどうか検討してみます。
コミュニケーション関連おすすめの本
突然ですが,コミュニケーション関連のおすすめの書籍をご紹介します。先日,ある講座でご紹介したものですが,せっかくですのでここでもご紹介したいと思いまして。
1.ビジネス・マナー編
- 作者: 社会人基礎力養成講座事務局
- 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
- 発売日: 2007/10/12
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 23回
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2.就職試験対策編
就職ディスカッション突破の10原則―パターン別攻略法をガイダンス (きめる!就職BOOKS)
- 作者: 上田晶美,細田咲江
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
- クリック: 13回
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3.プレゼンテーション・スキル編
「プレゼンテーション」に強くなる本―論理の組み立て方から効果的アピール術まで (PHP文庫)
- 作者: 木幡健一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2002/04
- メディア: 文庫
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- 作者: 川崎和男
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2005/06/29
- メディア: 単行本
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4.対話テクニック編
- 作者: Harvard Management Update編集部,Harvard Management Communication Letter編集部,DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/06/09
- メディア: 単行本
- クリック: 23回
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Speak Out! これは良い本だ
ディベートの本はいろいろと日本でも出てますけど,いろいろなところで実際に活用されたものが集約されて書かれた本というのは,なんだか頭にすっと入ってきます。
今日ご紹介する本は教えるのがうまいなあと思わせる本でした。パーラメンタリー・ディベートに詳しい人からのご紹介で知りました。
Speak Out! Debate and Public Speaking in the Middle Grades
- 作者: John Meany,Kate Shuster
- 出版社/メーカー: Intl Debate Education Assn
- 発売日: 2005/03/30
- メディア: ペーパーバック
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論理的な側面だけじゃなくて,ルールやマナー,語彙,ゲーム,練習のための教材,論題集,いろいろついてます。たぶん実例に即しながら教えてるからかな?わかりやすいと思うのは。
英語で書かれた本ですけど,中高生向けの本ですから,割ととっつきやすいですよ。自分で勉強してみたい人は是非買ってみてください。
殿堂入り(かも):曖昧なニラ玉
長年,僕はニラ玉をうまく作れなかった。たまに一番だしを自分で作ったときなどには,「今度こそ」という感じで挑戦するのだけれども,的を得たニラ玉にならなかった。
だが,しかしついに今日,自分流のニラ玉がそれなりに完成しました。ここにレシピを書いておきます。おそらくここ以外のどこに書いても忘れてしまうので。
- 材料(1〜4人分)
ニラ一束,卵1〜2個,みりん,しょうゆ,ショウガ,豆板醤,植物油,鰹節
- つくりかた
- ニラを切ります。5〜10センチの長さに切りそろえます。根っこに近い白い部分は細かい小口切りにします(以前,ためしてガッテンでそうするのが栄養的にベストというのを知りました)。
- ショウガの皮をむいて,スライスします。量は好みに応じて。
- 卵をかき混ぜ,そこにみりんと醤油を入れる。みりんと醤油の量はそれぞれ卵の量の5〜10%くらい。
- フライパンを温め,油を引いて,弱火にし,ショウガを投入。
- 10〜20秒後,ニラを投入。しばらくしてニラがしなしなになったら,豆板醤を小さじ2分の1さじ程度を入れる。量は好みに応じて調節。鰹節を適当に入れる。箸でまぜあわせる。火を中火にする。
- ニラを投入後,40秒ぐらいしたら,卵をそこに投入。全部が固まる前にさらに盛りつける。
量とかは曖昧ですが,本来そんなもんです。料理番組とか細かく書いてますが,ナンセンスですな。だって,卵の大きさだって,卵によって全然違う訳だし。だいたい何人分なんていうのは人によって違うしね。・・・ていう,料理番組があってもいいなと思います。
世の中が整備されてくると,何でもきっちりかっちりしてないと先に進めないって考える人が増えそうな気がします。そんな世の中へのささやかな反抗。そんなニラ玉なんです。
本が出ました!
宣伝です。
ナカニシヤ出版から『説明の心理学』が出版されました。
- 作者: 比留間太白,山本博樹
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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「説明」というのは最近いろいろなところで求められるようになりました。僕の章では説明における「共同のプロセス」というタイトルなんですが,説明というのは単に一方的なものではなく,捉え方によっては説明者と被説明者の相互作用による新たな知の創発が期待できる,とてもダイナミックでおもしろいものに成りうるというお話を書きました。
ほかの章も理論から実践まで幅広い「説明」についての研究・実践が紹介されています。いろいろなところで説明が求められる「説明社会」を理解するための視点を得ることができるかもしれません。