研究会のお知らせ

 今日は研究会のお知らせです。どなたでも予約なしでご参加できます。これからの大学教育のあり方にご興味のある方は是非いらしてください。

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第18回 次世代大学教育研究会のご案内
日時:10月15日(月) 14:00-17:30
場所:九州大学(西新プラザ・中会議室)福岡市早良区西新2-16-23 TEL 092-831-8104

  • 主題:「人材開発拠点」としての大学の可能性

 今回の次世代大学教育研究会では,「大学教育」「教育研究」「教育・人材育成産業」の3つが互いに刺激しつつ共に発展するための方向性を議論することを目的として,人材育成に携わる実務家と研究者の方々が話題提供して下さいます。
 現在,少子高齢化や国際的な開発競争の激化を受け,多くの国と地域では人材の確保が大きな課題となっており,いまや人材開発は最も重要な産業の1つであると言えます。このように人材不足が叫ばれる一方,大学院では高度人材の受け入れ先の確保が課題となっており,学部においても卒業後も不安定な経済状態に甘んじている者や安易に大学院進学を希望する者も多いのが実情です。
この状況の中,不幸なことに「大学教育」「教育研究」「教育・人材育成産業」はそれぞれ個別に教育実践/研究を展開しているように見えます。しかし,三者は互いに刺激しあうことで,教育・人材開発シーンにおけるダイナミックな展開が期待できると考えられます。そのためには,従来のように既に蓄積された知見や手法を対象に当てはめるような教育実践/研究では通用しないのではないでしょうか。むしろこれまでの教育研究のあり方を大胆に見直し,大学教育,ひいては広域社会における人材の確保と開発に直結した研究開発を進めることが肝要だと考えられます。今回の研究会は,このような可能性を模索するための議論の場として準備致しました。皆様のご参加をお待ちしております。

  • プログラム

14:00 開会の挨拶 阪井和男(明治大学
14:10 企画趣旨説明 富田英司(九州大学
14:20 「健全な組織で生きる人材」
     阪井和男(明治大学
14:50 「外国人IT人材育成への取り組みと人材開発拠点としての大学への期待」
     若杉誠司(株式会社アイソフトストーンリソーシス)
15:20 休憩
15:40 「組織・人材育成の実態とこれから向かうべき方向」
     永谷研一(株式会社ネットマン)
16:10 「関西経済連合主催大学院コンソーシアムについて(仮)」
     家本 修(大阪経済大学
16:40 パネルディスカッション 話題提供者全員
     テーマ:「人材開発拠点」としての大学のあり方を探る(仮)
     コーディネーター:富田英司(九州大学
17:30 閉会
18:30 懇親会(参加費実費)

主催:次世代大学教育研究会
共催:九州大学キャリア支援センター
支援:平成19年度科学研究費補助金(若手研究B)(課題番号:19730412)「自然言語処理技術を援用した対話的思考力の熟達化過程の解明と大学教育への応用」(代表:富田英司)
問い合わせ:富田英司(九州大学
E-mail: e.t.edu@mbox.nc.kyushu-u.ac.jp
電話: 092-642-4444

「パーラメンタリーディベートセミナー in 九州 2007」

宣伝です。
もうすぐになりますが,10月2日(火)に,「パーラメンタリーディベートセミナー in 九州 2007」というイベントが天神の岩田屋本館で開催されます。

今日,日本では英語によるコミュニケーション能力や論理的思考力を高める手段として英語ディベートが注目を浴びています。中でも即興性や説得性も重視する英国式ディベート(以下,パーラメンタリーディベート)は国内のみならず世界各国での近年の主流となりつつあります。このたび日本英語交流連盟の協力のもと,パーラメンタリーディベートセミナーを開催いたします。
 本場英国よりトップレベルの学生ディベーター4名と専門講師を招聘して行うこのセミナーは,九州地区では好評だった昨年に引き続いて2回目の開催です。白熱した議論のやりとりやベテラン講師によるレクチャーなどを学べる貴重なチャンスです。
 どなたでもご参加いただけますので,ぜひ多くの方々のご来場をお待ちしております。

議論力やコミュニケーション力ってどうやって訓練するんだろう,うまい話してって一体どんなんだろうって思う人,是非このイベントにご参加下さいませ。

詳しい情報はこちらからどうぞ。

議論におけるフレンドリー・ファイア

 大学生や大学院生の話し合いを見ていると,よく見かけるのが,すぐに相手に同意してしまうという傾向です。これについて,以下のページで言及されているのを見つけました。

クリエイティブになるための準備体操(2) 「フレンドリー・ファイア」に注意せよ

 互いにすぐに同意しあうことを「同士討ち」(フレンドリー・ファイアー)と表現しているようです。見かけ上は仲良くやっている訳ですから,この表現はちょっと新鮮でした。机の上では仲良く振る舞っていて,机の下では互いの能力を発揮しないように同士討ちをやっているというようなイメージでしょうか。

 教育研究でいくつかこのような指摘を,僕のも含めて,行ってきている研究があるが,まだまだ足りないと思います。表面的に仲良く話しあって,すぐに相手の話に同意してしまい,互いの意見の間にある微妙なニュアンスの違いを認めないことが,いかに創造性の芽をつんでしまっているか,教育者はもっとシビアに現実を見つめるべきではないかと思っています。

論理の使い方における個人差

 ふと思いついたので書き留めておきます。「論理的かどうか」ということはいろいろな状況で論じられます。そのとき,論理的であったとしても,その論理をどのように利用するかは頭の良い人たちの間でも分かれるのではないかと,ユニクロでブラブラしているときに思いつきました。
 まず「論理」というのは,何らかの前提条件やデータから結論を出すときに用いる推論のルールや道具といったものです。簡単なレベルではA→B,B→CならばA→Cとか,AならばAとかそういうものです。もっと複雑なレベルでは,多くの場面でみられる個々の事実から一般的な法則を見いだしたり,一般的に当てはまることを個別のことに当てはめたりといったことがあります。すなわち,ここで論理と言っているのは,ルールによって支配された推論するときにその背後にあると考えられる「理(ことわり)」です。
 さて,論理的に結論を出すというときの2つの論理の使い方とは,非常にシンプルです。1つ目はまず「言いたいことがまず最初にあって,その正しさを主張するために,論理的な推論の材料を集めて組み合わせる」という使い方。2つ目は「言いたいことが何かはさておき,今ある材料から論理的に推論してみたところの答えがほしいから論理を用いる」という使い方。この2つは両方ともが科学的発見のためには非常に重要な役割を担います。前者は一般的な法則がまだ分かっていないのに,それをあたかも実体視しているような感じではありますが,直観的に真理をつかむという科学者がよくやっていることでもあります。後者はわりと冷ややかで,コンピュータ上のバーチャル問題空間において初期状態を用意してやって,その結果起こったことを素直に受け入れるといった,まるでシミュレーション科学者のような感じです。これら2つは全く違うアプローチであるにもかかわらず,両方ともが実証的な科学でありうるし,2つのプロセスは一人の個人の中に同居します。
 ただ,問題なのはこれらがどちらかに偏ってしまい過ぎることがあるということかもしれません。前者のような論理をもっぱら使う研究者は,もしかするとデータのねつ造や都合のよいデータ解釈へと限りなく近づいていくかもしれません。後者は後者で,行き当たりばったりで,条件を無限に組み合わせていくようなオタクへとつながっていくかもしれません。
 これを整理すると,タイプ1「論理は使わない人」,タイプ2「結論先行型の論理の使い手」,タイプ3「ルール遵守型の論理の使い手」,タイプ4「複数の論理の使い方をバランスよく使い分ける人」みたいな感じでしょうか。
 もしこんな風に分けることができるとしたら,ある人がいつどのタイプの論理の使い方をするかは何によって決まるのでしょうか。それは個人特性と見なしうることなのでしょうか。そんなことが大変気になります。
 もうちょいすっきりさせたいところですが,今日はこのへんで。

教育において“意味のある”投資とは?

 iTunesですばらしいサービスが始まっているのを今日知りました。梅田望夫氏のフォーサイトの記事を読んで。
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u130.html

 そうです。つまりiTunes U というサービスです。これは今のところアメリカの大学だけみたいなのですが,大学が提供している授業の音声や動画を一同に集めたものです。これまでバラバラで検索するのが面倒だった,大学の授業のリソースが一挙に集められているので,より楽しくなったという訳です。でもやっぱり音の悪い授業は聞く気になれない。。。すみません,贅沢で。

 でおもしろかったのが,iTunes Uのランキング。一位は大学の授業じゃなくて,幼稚園から高校3年生までのメディアを活用した授業を集めているページのポッドキャスティングでした。なんだそれはと思いましたが,実際は結構おもしろいものでした。これはNo Strings Attachedというページで解説が読むことができますし,授業紹介の動画も見ることができます。一つ一つのビデオは短いですけれど,様々な教科の実際の授業の様子と教師のコメントが添えられていました。また,授業を組み立てる上での発想や大事にしていることなど,授業デザインについての情報もHPでは見ることができます。こういった動画を作るには教室の子どもが映像に映ることの許可を保護者に求めないといけないので大変だったでしょうね。授業研究っていうと重くなりがちなのですが,こういうのもいいなと思いました。何より,自分で試してみたいと気軽に思えるのが良いと思います。誰でも簡単にアクセスのできる授業研究は意味があると思います。

 そこで考えたのですが,今の学校の教員が自分たちの独自の努力で伸びていくのに必要なのは何か。1つは英語力,もう一つは新しいメディアやコンピュータを使いこなす技術と動機付けではないでしょうか。もし英語に不自由しなければ,上で紹介したような教育実践を気軽に世界中に求めていけるのです。しかも人間関係のややこしさが全くないところで。そのためにも,Web2.0的な世界観の元で新しいインターネット上のサービスをどん欲に試していく行動力と興味が大事だと思います。技術はそれについていくものです。そのために大事なのは大学での教育だと思っています。教員養成系の学部教育カリキュラムにおいて,英語とインターネット,これは是非とも楽しく激しく学ぶべきでしょう。そのためには,教員養成系の担当教員がしっかりと英語とインターネットを駆使して遊ぶことが大事なのは言うまでもありません。そのためにはいろいろ投資が必要でしょうが,実に高利回りが期待できる投資だと思います。

試験期間が終わったら読む本

 西南学院大学で僕の講義を受講する皆さん。
 今日は皆さんのための書き込みです。もし授業を通じて「こんなこと,あんなことをもっと勉強したい」と感じた皆さんにいろいろな本をご紹介します。

 まずは「学校のお勉強っていったい何だったのか」というテーマについてさらに深く掘り下げたい方には,次の本がおすすめです。超有名な社会学者の書いた痛快な本です。

サヨナラ、学校化社会

サヨナラ、学校化社会

 上の本は誰でも親しみやすい本ですが,もっともっと難しくていいと思う人,「もっとオレに刺激を!」という方には次の本を紹介します。画像はないけど,古い本だけれど,今の教育界の議論はデューイにかなり集約されています。百年経っても古くならない本です。

民主主義と教育〈上〉 (岩波文庫)

民主主義と教育〈上〉 (岩波文庫)

民主主義と教育〈下〉 (岩波文庫)

民主主義と教育〈下〉 (岩波文庫)

 本当の意味での学習が日常の中にどのように埋め込まれているか。これも僕の授業で扱ったテーマの一つでした。これについては次の本がいいですよ。

状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加

状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加

 そしてその考え方を企業に持ち込んで論じたものが次の本です。これもなかなか良い本です。
コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 (Harvard Business School Press)

コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 (Harvard Business School Press)

 学校がどうこうじゃなくて,今の社会がうさんくさいよっていう方,気持ちはよく分かります。そういうときは次の本がおすすめです。

からくり民主主義

からくり民主主義

ファストフードが世界を食いつくす

ファストフードが世界を食いつくす

 あんまり悲観していてはおもしろくない。これからの世界に希望を持ちたい。そんなあなたには次の本を紹介します。1つはインターネットが世界をガラガラ変えつつあるという話。もう一つは経済学が物理学と出会ってどんでもなくおもしろいことになっているという話。です。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

経済物理学の発見 (光文社新書)

経済物理学の発見 (光文社新書)

 そして,いつかはビッグになりたい,誰にも言ってないけど,ちょっとそう思ってるあなたは次の本をこっそり読むといいでしょう。僕は昨日読みました。

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか

 はい,気を取り直して。まだまだ行きます。
 脳の不思議さにもっともっと迫りたい人にはこの3冊。

生存する脳―心と脳と身体の神秘

生存する脳―心と脳と身体の神秘

脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)

脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)

サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)

サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)

 脳の不思議さには興味があるけど,「上の本はちょっとムズイぜ」という方には次の本ですかな。

 人間関係の複雑さを読み解きたいあなたにはこんな本を紹介します。

セラピストの技法

セラピストの技法

 学習障害について,具体的な学習上の工夫を知りたい人には次の本。

LD(学習障害)のすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

LD(学習障害)のすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

学校と勉強がたのしくなる本―LDの子のためのガイドブック

学校と勉強がたのしくなる本―LDの子のためのガイドブック

 そしてこれから社会に出て行くにあたって,対話力を身につけたいというあなた。これが案外いいかもしれません。

ハーバード・ビジネススキル講座 対話力

ハーバード・ビジネススキル講座 対話力

 万人向けの本もあれば,マニア向けの本もありますので,どれか読んでみておもしろくなくても,他の本は楽しめるかもしれません。いろいろと開いてみるのがいいですよ。

 そして最後に,本もいいけど,インターネットにはいろいろな世界最新のニュースや思想,動きが詰まっています。是非,インターネットからもどんどん重要な記事を見つけて,これからの荒波を楽しんでください。明日は最後の授業です。ご静聴ありがとう。

WebサーバーとStreamingサーバーの同居時のトラブル解決法(マニア向

久しぶりの書き込みとなります。

今回はAppleMacOSXでサーバーを運用している人しか読んで分からない内容なんで,マニアックかと思います。が,自分のためのメモとして。

いまとある目的のために,MacMiniをウェブサーバーとして運用しつつ,かつストリーミングサーバーとしても運用していますが,ストリーミング・サーバー(QuickTime Streaming Server,無料のやつね)を導入して以降,web共有が起動しないというトラブルに見舞われました。

↓こんなメッセージがでました。ブラウザでウェブにアクセスすると。

RTSP/1.0 400 Bad Request
Server: QTSS/5.5 (Build/489.7; Platform/MacOSX; Release/Darwin; )
Cseq:
Connection: Close

とにかくよくわかんなかったのですが,ついに分かりました。ポート番号が競合していたのです。QuickTime Streaming Serverの設定には,ポート番号を80にするかどうかを選ぶページがあり,デフォルトではそれにチェックされていることがあります。そうなると当然ウェブサーバーも同じポート番号をつかっている訳ですから起動しなかったという訳です。で,このポート番号を80にするかどうかの選択でチェックを外すと,見事起動しました。なお,チェックを外すときは一旦,ストリーミング・サーバーを“Disabled”にしてから外します。そうしないと変更できませんよ。

ちなみに,今取り組んでいるサーバー構築は↓この本を参考にしています。かなりいいですよ。簡単です。今回の書き込みの内容もこの本に収録しておくといいなあと思った次第。

Mac miniで作る Mac OS X ミニミニサーバー

Mac miniで作る Mac OS X ミニミニサーバー